【探偵調査員の奮闘日記】葉桜の季節に君を地獄に堕とすということ

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探偵小説

こんにちは、うな探偵社調査部長の竹中です。

今回はあるDV夫への復讐のお話です。

プライバシー保護のためフィクションを交えながらお話しします。

この日、依頼にやってきたのは、さくらさん(仮名)と母のハラ子さん(仮名)の親子でした。

父のハラ男(仮名)の酷いDVと浮気についてのご相談でした。

さくら「父は昔から、お酒を飲むと声を荒げたりする人だったのですが…私が家を出てから、酷くなっていったようで。わたしもあまり家に寄り付かなかったので、わたしのせいでもあるのですが…」

もう、現在はさくらさんはご両親とは住んでいないそうなのですが、母のハラ子さんと連絡を取るうちに、ハラ男の言動が発覚したそうです。

ハラ子「お酒を飲むと怒鳴ったり、物を投げたりすることが増えて…ここ数年、朝帰りすることも多く、他にも女性がいるのではないかと」

さくら「母が我慢するから、どんどん調子に乗っているんだと思います。こらしめて、母を自由にしてあげたいんです。

もう2人の間では今後の計画は決まっていました。

証拠を撮り、正式に離婚と慰謝料を請求して、それが成立するまでハラ子さんはさくらさんご夫婦のおうちに住み別居する。

離婚を申し立てられ、激高したハラ男の報復から逃れるためです。

ハラ男はほぼ毎晩のように出かけ、週に1.2回朝帰りするそうでした。

帰ってきてもあまり寝ている様子もないため、どこかに泊まってきているのだろう、とハラ子さんは言います。

少しでも早いほうがいいと、翌日から調査を行うことになりました。ハラ子さんご夫婦の自宅前から調査開始です。

ハラ男は毎日ほぼ決まった時間に家を出るそうで、この日も例に違わず夕方に出てきました。

バッグも持たず軽装で出てきたハラ男は、近所のちいさな飲み屋に入ります。

焼き鳥やおでんを売っている、テーブル席2つとカウンター席しかないお店で、店の前面がガラス貼りになっているため店内の様子が外からも見ることができます。

ハラ男はカウンター席の角に座ると、1人で飲み始めました。店員と親しげに話している様子から、常連であることが窺えます。

ハラ男が飲み屋に入って2時間が経ちました。

酒が深くなってきたらしく、ハラ男がなにか店員に怒鳴っているのが店の外まで聞こえてきます。酒癖が悪いというのは本当のようです。

飲み屋で店員を怒鳴ったりしていたハラ男ですが、店から千鳥足で出てくると、少し歩いて路地を曲がったところのスナックに移動します。どうやらまだ飲み足りないようです。

その後、ハラ男は深夜1時まで飲んで騒いでいたようですが、その後は直帰でした。
5.6分も歩けばつく自宅に帰り、深夜だというのに玄関口で怒鳴っているようです。

こういうのが、昭和の親父….とかいうやつなのでしょうか。

翌日も調査を行いました。


また同じ夕方に出てくると、昨日の飲み屋へ入ります。
どうやら、毎日この時間に出てくるのは、この飲み屋の開店時間に合わせているのでしょう。

しかし今日は、2時間ほど経った頃、女性が合流しました。
派手なスカートを履いた、ハラ男と同年代くらいの女性です。

女性がハラ男と身を寄せ合うようにして席につくと、ハラ男はすぐに女性の肩を抱き、2人はあからさまにベタベタしています。

家から徒歩5分の、外からも見えるような席で………

飲み屋のカウンター席で女性の肩を抱きながら酒を飲むハラ男の後ろ姿を見ながら、
すっかり疲れ果てたようなハラ子さんの様子を思い出します。

外で女性とこんな風にベタベタして、家に帰ってきては妻を怒鳴るなんて、依頼を決意した娘のさくらさんの気持ちを慮ると……
2人のためにも、調査を続けなければなりません。

2人はしばらく飲み屋で飲んだ後、また近くのバーに移動しました。


今度は中は見えなかったので様子はわかりませんが、
2時間後に出てきた2人は、かなり酩酊しているようでした。

ハラ男は女性に抱きつくようにして歩き、路上で立ち止まってはキスしています。
※家徒歩10分

まだ22時前で、深夜というほど遅くもなく、ハラ子さんが買い物とかに出てきていて鉢合わせたら、とか、考えないんでしょうか…

ハラ男は女性と絡み合ったままラブホテルへ入っていきました。


このホテルもハラ男の自宅から徒歩圏内、
浮気というと、浮気相手が近所の人であっても(逆になおさら)遠くまでわざわざ行くことが多いものですが、改めて舐めた男です。

2人がホテルに入ったところで、娘のさくらさんに連絡すると、

「本当に母が可哀想で、早く証拠を突きつけて身包み剥いで家から追い出したい。もう関わりたくない」と泣いていました。

そのまま、2人は朝まで出てくることはありませんでした。
時々あるという朝帰りは、やはりこの女性とホテルに泊まっていたのでしょう。

朝、2人はホテルから出てくると、2軒隣のファミレスに行き、朝食を食べてから別れました。

女性の身元を判明させるため、女性を尾行します。


ハラ男と別れてからも、女性は駅に向かう様子もなく歩いての移動だったので、まさかとは思いましたがこちらも徒歩15分程度のところに住んでいました。

相手の女性の入った家は庭に大きな木のある一軒家で、こちらも既婚者であることが推測できます。W不倫です。

一通りの調査を終え、報告書を渡して、離婚のための弁護士も紹介し…

ハラ子さんは調査終了後、すぐにさくらさんご夫婦のおうちに引っ越して別居したそうです。

ハラ男は激怒したそうですが、もう、どうすることもできません。

まだ完全に決着がつく前でしたが、やはり家を出たことで“もう終わった”と実感が沸いたのか、ある日、ハラ子さんが1人で御礼に来てくれました。

「もっと早くに頼めばよかったです。本当にありがとうございました。

もう87歳の歳でおかしいですが、生まれ変わったような気分です。気分一新して、これからはのんびり過ごそうと思います」

ハラ子さんは以前会ったときよりも顔色もよく、若返って見えました。

ハラ子さんにいただいたお菓子を食べながら、人の役に立てる仕事ができてよかった、と、実感しました。

                    おわり

~実話~

暴力と不倫…最低です。

                    調査員O

Supervisor Information

監修者情報 | 金子 玄

慶福法律事務所代表

【出身大学】
慶應義塾大学法学部法律学科・大学院法学研究科修士課程を修了

【経歴】
平成19年 弁護士登録後、複数の都内法律事務所に勤務
平成25年 慶福法律事務所設立

【所有資格】
弁護士(識別番号36627_第一東京弁護士会)・図書館司書資格

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