浮気の証拠になった意外なもの!

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サレ知っ得情報

浮気をしたパートナーに対して慰謝料を請求しようと思った時、兎にも角にも必要になるのが浮気の「証拠」です。
慰謝料請求を交渉する場において、相手が自ら不倫の事実を認め、請求額通りに和解することはまずありえません。
ほとんどの場合「一緒に遊んだだけ」「相談に乗ってあげただけ」「肉体関係はない」となんやかんや言い訳をし、何とかして慰謝料を減額できないものか、と足掻こうとしてくるのです。
証拠がなければ浮気をした、してないの水掛け論が続くばかりで、交渉は平行線。
話がまとまることはなく、結果として証拠がなければ慰謝料の支払いもされないでしょう。
逆に証拠があれば相手の言い訳は苦しくなり、交渉が決裂して裁判に発展しても圧倒的に有利に話を進められます。

ですが、証拠があるからと油断して居てはいけません。
その証拠、果たして本当に証拠として有効ですか?
自分では間違いなく浮気の証拠だと思って確保したそれが、客観的には証拠としては不十分。
裁判なんかでは使えない場合もあります。
そんな事にならないよう、何が証拠になって、何が証拠にならないのか、きちんと判別が付けられるようになりましょう。

1.そもそも浮気の行為の定義はなにか?

 

証拠になるかならないかのお話をするより先に、不貞行為の定義について知っておいてもらう必要があります。
昭和48年に行われた最高裁での判決では以下のように定義されています。


不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。

難しい言葉になっていますが、分かりやすく言えば性的関係=肉体関係があったか否かが重要視されているわけです。

1-1.では具体的にどんなことが浮気になるのか?

 

具体的に性的関係とは何を指すのかと言うと性交(男女が性器を結合させる行為)や口腔性交(口を使って性器を刺激する行為)などの行為が該当します。
ですので、性的関係のある行為の最中の写真などは当然、証拠として有効です。
また、長時間ラブホテルに2人きりで過ごしていた事が証明できればそれも証拠になります。
それはラブホテルは性交渉をするための場所として社会通念上広く知られているからです。
逆に、ただのハグは性的関係とまでは言えず、ハグの伴う浮気は不貞行為などとは看做されないため、離婚理由や慰謝料請求の材料としては弱いのです。
証拠が有効かそうでないかの最も大きなポイントはこの「性的関係」を示す内容であるか否か。
そして、不貞行為とは肉体関係のある不倫のみを指し、肉体関係のない浮気などは不貞行為に該当しない、ということを覚えておいてください。

2.証拠にならないものはどんなものか?

 

それでは上記の不貞行為の定義を踏まえ、先ずは証拠になりそうでならない、証拠として不十分な材料を挙げていきましょう。

2-1.デート中の写真。

イメージは芸能人のスクープ写真です。
手を組んでいたり、ハグをして居たり、見るからに仲睦まじそうで、2人の距離から親密さを感じられるこれらのツーショット。
それは、誰がどう見ても浮気の瞬間を捉えたものでしょう。
しかし、残念ながらそれだけでは不倫があった=性的関係をもった証拠とは認められないのです。
訴える為に必要なのはパートナーが他の異性とイチャイチャして居た証拠なんかではなく、あくまでも肉体関係があったことを示す証拠。
他の不貞行為を証明するのに十分に決定的証拠の補強として用意するのなら有効ですが、ただデートをしているだけの写真は決定打にはなりません。
気をつけて下さい。

2-2.デートの約束をするメッセージ。

メールやLINE、その他のSNSなどを使って食事やデートの約束を取り付けるやり取りの様子を押さえたとします。
しかし、これもデート写真と同様の理由で証拠にはなりません。
見てるだけで腹が立つほど露骨にイチャイチャしている様なメッセージだとしても、デートの約束やただのイチャイチャでは不貞行為をした、とはとても言えません。
腹立たしい事ですが、これも証拠としては弱いのです。

2-3.プレゼントの領収書など。

アクセサリーや服などを不倫相手へのプレゼントとして購入。
その結果残るのが領収書や、クレジットカードの利用明細という形の証拠です。
しかし、ただのプレゼントもやはり不貞行為の証拠としては不十分。
別の有効な証拠によって不貞行為を証明出来た暁には、共有財産の使い込みの証拠として慰謝料とは別に請求する材料になる場合があるのでこれらを確保しておく事に意味はありますが、こと慰謝料を請求する場面においては弱いカードでしょう。

2-4.GPSのデータ。

実はGPSによる位置情報データやログは浮気の証拠にはならないことが多々あります。
何故なら、それらのデータは情報の正確さに欠けることが多いからです。
気軽に買えてしまう程度のGPSは実は大まかな位置を示すのみで、ピンポイントに正確な位置表示がされない場合が多くあります。
また、建物の中、地下、山間部など電波の状況が悪いところでは、その制度はさらに落ちてしまうのです。
そのため、確実にこの場所にいた、と証明する為の証拠にならないのです。
また、GPSについては、例え夫婦であってもこっそり設置するのがプライバシーの侵害になり、違法な行為として扱われる場合もあり、とても扱いの難しいものです。
証拠として弱い割に扱うリスクは高いので、もし証拠集めにGPSを使おう、と軽い気持ちで考えているのなら、それはオススメできません。

3.浮気の証拠になるものはどんなものか?

 

では逆に、証拠として有効なものには具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
証拠集めの参考として覚えておいてください。

3-1.ホテルへ出入りする写真。

冒頭でも述べた通り、証拠としてはイチャイチャデートのツーショットよりも、2人きりでホテルを利用している事を示す写真の方が強いです。
ラブホテルであれば言うことはありませんが、実はラブホテル以外のビジネスホテルやシティーホテル、リゾートホテルなどの宿泊施設についても、浮気相手と共に2人きりで出入りしている様子を写真に収めることが出来れば十分に証拠になるのです。
ただし、ラブホテル以外のホテルへの出入りを証拠とする場合には同じ部屋に泊まったことの確認できる写真で、かつしっかりと顔を認識できる写真である必要があります。
せっかく写真を撮れたのにピンボケしてしまっては証拠にはなりません。
実は有効な証拠になる為には難しいポイントが少なくない為、浮気調査は個人で行おうとせず、探偵に依頼するのが確実と言われるのはその為なのです

3-2.旅行を計画するメッセージ。

デートの約束では不貞行為があったかどうか分からない為に証拠として弱い、とお話ししましたが、それが泊まりがけの旅行であれは話は別。
不倫相手と一緒に旅行やホテルに行ったり、あるいは行くことを計画していることが分かる文面が残っていれば、それは十分に不貞行為があったと看做される証拠になります。
ただ、ホテルに泊まった感想であったり、もっと露骨に不貞行為の誘いだったりの文面が明確に残って居たとしても、「ただの冗談だ」というくだらない言い訳が罷り通ってしまう事があります。
どれだけ疑わしくとも「疑わしきは罰せず」の原則により決定的な証拠として扱われないケースがある為です。
ただし、その場合でも別の証拠がきちんとある際には、その事実を強調する証拠になります。
メッセージのやり取り単体では少し不安の残る証拠ですが、他の証拠と組み合わせることで強力な効果を発揮するでしょう。

3-3.ラブホテルの利用明細。

プレゼントの領収書や利用履歴は証拠になりませんが、ラブホテルの利用明細であったり、あるいは避妊具の購入明細であれば十分な証拠になります。
クレジットカードの利用明細の中では特に、ホテルや旅館などの宿泊施設へ支払い、レシートや領収書であれば、ホテル街や浮気相手の自宅近くにあるコンビニやレストラン、レジャー施設などのものがあれば、他の証拠と合わせて浮気相手とともに利用した証拠になることがあります。
SNSでのメッセージと同様、いずれのケースにおいてもそれ単体では証拠として弱い場合がありますが、こちらも他の証拠と組み合わせることで、共に強力な証拠として機能するでしょう。

3-4.産婦人科の診療報酬明細

基本的に男性が一人で産婦人科を受診することはありません。
ですので、もし旦那が産婦人科を受診したことを証明できれた場合、それは強い証拠になる可能性があります。
特にただの利用ではなく、浮気相手の妊娠であったり、堕胎であったりが分かる資料があれば、それは直接的な不倫の証拠として決定打になります。
身内の付き添い、なんて嘘はその身内に確認することですぐに見抜くことが可能ですし、浮気・不倫相手の女性に付き添って産婦人科へ行ったと考えられるのが普通でしょう。

3-5.謝罪文、自白文。

浮気を問い詰めた結果、相手が浮気を認めて謝罪をしてくることがあるかも知れません。
実はそこで不倫をしたことを口走ったり、認めたりした時、それを録音していればゲームセット
後からなんと言われようと、一度認めたからには証拠となるため、他のどれよりも有効かつ強力な証拠になります。
もちろん「旦那・妻が浮気を認めた」などと証言をしたところで何の意味もないので、相手からの謝罪があった際にはきちんと謝罪文として書面化させたり、あるいは話し合いの様子をレコーダーなどでデータとして記録しておくようにしましょう。
ただし、あまり無理矢理に謝罪を強要すると恐喝されて謝罪をした、と言われてしまい証拠としての力を失う可能性があるので、謝罪を引き出すことを目的として話をする際には、いかに冷静さを失わないでいられるかがポイントになります。

 

4.浮気の証拠を集めるときに気を付けるべきこと。

 

 

何が証拠として有効で、何が無効なのかについては何となく判別が付くようになったかと思います。
それでは証拠を集める際、特に気を付けなければいけないポイントについてお話ししておきます。

 

4-1.違法な手段で証拠を集めない。

いくら夫婦間の事とは言っても、証拠の集め方次第ではプライバシーの侵害に当たる可能性があります。
無闇に人の携帯を覗いたり、盗聴器や発信機を取り付けたりして仕舞えば、違法行為として認められ、逆にこちら側が訴えられてしまうかも知れません。
離婚裁判や慰謝料についての裁判は民事ですので、例え違法な方法で集めた証拠であっても、無効なものとして扱われず証拠ことして認められるケースもありますが、やはり法を犯してしまうと立場が弱くなることは避けられません。
正しく優位を保ったまま、何も後ろめたい事なくパートナーを訴え、慰謝料を請求する為には、違法な行為になる可能性に気を付け、慎重に証拠を集めなければいけません。
例えば、LINEによるメッセージのやりとりを証拠として確保しようと考えた時、パートナーがLINEにロックをかけていた場合、パートナーのIDとパスワードを勝手に使ってLINEにログインしてしまうと「不正アクセス禁止法違反」という犯罪にあたる可能性があり、逆にこちらが損害賠償を請求される羽目になるかも知れません。
ただスマホのロックを解除したり、既に端末にダウンロード済みの保存された履歴を見る分には刑法上の犯罪にはならず、そのラインの見極めは極めて難しいと言えるでしょう。
具体的にどこまでは合法でどこからが違法なのか、専門知識のない殆どの人には判断が難しいものだと思います。
ただ確実に証拠が集まるから、というだけではなく、余計なリスクを避ける意味でも探偵への相談や依頼というのは意味のある選択です。
自信がなければ自分一人で証拠集めに乗り出さず、探偵などを頼る方が良いでしょう。

4-2.証拠はあればあるだけ良い。

証拠集めにおいて大切なのは一つの証拠に拘らないことです。
証拠というのは複数の候補を用意しておくことで、多角的に浮気を証明できる可能性が高くなります。
証拠としては弱い、証拠になりにくい、と紹介したものに関しても、それ単体では証拠として扱われなくとも、他の証拠の信憑性を裏付けたり、不貞行為の事実をより確実に証明する補完のための材料になるケースは多々あります。
逆に証拠になるものとして紹介したものの中にも、それ単体では少し弱い、と話したものもあります。
単体では証拠にならないからと切り捨てるのではなく、「もしかしたら」の意識を大切に、出来る限り沢山の証拠を集める事をオススメします。
証拠が少なくて困る事はありますが、多すぎて困るなんて事はありません。

5.どうしても証拠が集められなかったら?

 

実は証拠がなければ慰謝料を求めてはいけない、ということはありません。
旦那・妻が不倫していることは間違いない、と確信しているけれど、どうしても証拠が集められない。
そんな時でも当事者による示談による相手への慰謝料請求であれば、確定的な証拠がなくとも可能なのです。
不貞行為の証明には弱くとも、話し合いの際の武器として露骨にイチャイチャしているツーショットを見せ付ければ相手も強気にはなれませんし、十分に慰謝料を取れる可能性はあります。
また、その場で浮気をして居た事を相手が認めれば、前述の通りにその証言や謝罪そのものが証拠にもなります。
その為、どうしても証拠が集められなかったからと必ずしも泣き寝入りするしかない、という事にはならないのです。

ただし、これはあくまでも当事者間での話し合いによる慰謝料請求の話です。
ここで相手が事実を一切認めずに争いになったときは、最終的に裁判で解決を図る必要があります。
そして、慰謝料請求訴訟として相手と裁判で争う場合には、裁判官を納得させるため、不貞行為の存在を証明する客観的な証拠が必要になってしまいます。
証拠がなくても何も出来ない訳ではありませんが、取れる選択肢は狭まってしまいますし、決定打にも欠けます。
可能であればやはり証拠は確保しておきたい為、自分一人で証拠を集められないのであれば、探偵に依頼をしてプロの力で証拠を何とか確保してもらうのが慰謝料請求の為には安全で確実な選択でしょう。

6.まとめ。

 

ここまで慰謝料請求時における証拠の重要性、そして証拠選びのポイントについてお話してきました。
これで皆さんも証拠になる、ならないの何となくの感覚は掴めたことかと思います。
ですが当然、実際に証拠になるのか、ならないのかを確実に言い切れるほどの判断力はないと思われます。
証拠になるものもならないものも、ここで挙げた例が全てではなく、いざとなってみたら「こんな意外なものが証拠になるの?」「これって証拠にならないの!?」と思わず言ってしまうようなものもあるかも知れません。
そういった細かい判断をする専門知識と、証拠集めのノウハウ、経験を持ち合わせているのが探偵です。
もし慰謝料請求のために証拠を集めたいのであれば、独自に動くのではなく、探偵を雇い、任せた方が確実ですし、何より楽です。
もし悩んでいるのなら、探偵の利用を選択肢に加えてみてください。

Supervisor Information

監修者情報 | 金子 玄

慶福法律事務所代表

【出身大学】
慶應義塾大学法学部法律学科・大学院法学研究科修士課程を修了

【経歴】
平成19年 弁護士登録後、複数の都内法律事務所に勤務
平成25年 慶福法律事務所設立

【所有資格】
弁護士(識別番号36627_第一東京弁護士会)・図書館司書資格

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