【探偵調査員の奮闘日記】風俗店で見つけた家出少女の話

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探偵小説

こんにちは、うな探偵社調査部長の竹中です。

過去に行った調査をプライバシー保護のため、一部フィクションを織り交ぜてお話しします。


今回は、ちょっとした口論の結果、家を出て帰って来なくなった女子中学生の親御さんからの家出調査の依頼です。

中学生の家出だと、お金も交友関係も大人ほど持っていないことが多いので、たいてい、友達の家だったり周辺の街を捜索すれば見つかるケースは多いです。

一人でホテルに泊まったりアパートなどを借りることもできないからです。

なので、通常通り近辺の街を中心に捜索していたのですが、それが甘かったのです……

全然、しっぽが掴めません。

数日間捜索しても、珍しいほどまったく情報が上がってこなかったので、一旦調査員全員で作戦の練り直しになりました。

調査員A
「もう、ここまでいないとなると近隣の街ではない可能性が高いですね」

調査員B
「事件などに巻き込まれていなければいいけど……」

竹中
「やはり、中学生の女の子が1人で生きていこうと思ったら、あれを売るしかないんじゃないか」

調査員C
「そうですね…」

家出した中学生を探すため、私たちは事務所にいた調査員まで総出で、何千何万とある風俗嬢の写真を照合することになりました。

幸い、今回捜索している中学生、M美には目の横の頬に特徴的な大きなホクロがありました。

これなら、加工やモザイクがあっても見つかる可能性が高いです。

デリヘルやソープの、本当に何万枚と無限にある風俗嬢たちの写真を、昼も夜も眺め続けること3日。

全員、とうにくたくたで、人の顔を人の顔として認識できなくなってきた頃でした。

調査員B
「いた……これだ……」

現代の加工はすごいので、これじゃないの?という人物は複数いたのですが、それは誰が見てもこれじゃないかな、と思う代物でした。

その人物は、依頼者の家から遥かに離れた都会のデリヘルのホームページにいました。

もちろんモザイクもあるので、ホクロと雰囲気だけでは特定できません。

これは依頼者には申し訳ないけど客になりすまして呼び出すしかないということで、我々はそのデリヘルのある街まで出かけました。

私たちは、1番確実な方法として、彼女を指名することにしました。
作戦はこうです。

調査員1名がM美を呼び出し、他2名は外で待機。
M美が本人であることが確認できれば、外の2名でM美を追います。

その後も他の仕事があるかもしれませんが、今寝泊まりしているところに帰宅するまで追って、そこで調査は完遂です。

本当なら中学生なのですぐにでも止めに入りたいところですが、今回は依頼者からの指示で

「必ず本人に会いたいから、私がそちらに着くまでは介入せずに尾行を続けて欲しい」

と依頼されています。
M美が我々を拒否して逃げた場合のリスクも考えると、もう少しの辛抱です。

 

まずはM美の働くお店から程近いラブホテルを選び、M美の指名です。

本当は1番最後のお客になれると、その後に尾行をする時間を減らせるのでいいのですが、
生憎最後のほうは埋まっていました。

最後にもう一度その宣材写真を眺め、やはりこの子だ、とボタンを押します。

調査員Aがラブホテルの部屋で待っていると、M美はすぐにやって来ました。
ノックをした後部屋にゆっくりと入って来たのは、間違いなくあの家出少女です。

特徴的なホクロや幼い顔つき、この数日間ずっと写真を睨み続けてきたM美そのものです。

待ちきれず、外で待機している調査員に「間違いなくこの子だ」と連絡を入れます。

せっかく苦労して見つけ出し、接触することまで成功した家出少女。

彼女には、今余計なことをして逃げられては元も子もありません。
宿泊先を割り出すまでは、あくまで普通の客を装います。

調査員A
「歳はいくつなんですか?」
M美
「18歳です」

調査員A
「若く見えますね」
M美
「童顔なので…」

心の中で「中学生でしょ…」と突っ込みを入れ、
他愛もない話をして…一時間ほどして彼女は
部屋を出て行きます。

M美が部屋を出て行くのを見届け、外の調査員に今から出ると連絡を入れます。

M美の乗ったデリヘルの送迎車は、待機所があると思われる雑居ビルに入りました。

その後しばらく間をあけて調査員Aも私のいる調査車両に合流、後部座席に隠れるように乗り込みます。

もしもM美に、待機所の前で張り込んでいるところを見られたら、とんでもないストーカー客だと思われてしまいます。

予約にもあった通り、M美はその後2回、送迎車で他のホテルへ向かいました。

そして朝方にはとうとう一人でビルから出てくると、タクシーに乗り込みます。

こちらも車で追いかけると、程近いマンションの一室に帰っていきました。
働いているお店が部屋を借りてくれているのでしょう。

さて、これでようやく長かった調査も終盤です。
依頼者に、改めて宿泊先が判明したとの連絡を入れます。

この場所でそれらしい人物が見つかったこと、今日調査に来ていることまで伝えてあったので、依頼者は一晩中起きて待っていたようでした。

M美が見つかったことを伝えると、依頼者は朝一の飛行機に乗って、こちらへ来ると言いました。

きっと今日の日中であれば、朝帰りのM美はさすがに眠いだろうし、依頼者はこの部屋でM美に会える可能性が高いはずです。

我々もM美と依頼者を引き合わせるため、一旦自分たちもホテルに戻って休んだあと戻ってくることにしました。

昼過ぎにはもう依頼者は、M美のいるマンションの近くまできていました。

彼女の部屋を訪ねて、驚いた様子で恐る恐るドアを開けたM美を依頼者に引渡して、調査は終了です。

依頼者も家出した娘が見つかったとはいえ、中学生が風俗店で働いていたとなれば、心境は複雑なはずです。

そしてそれはM美も同じこと。

無事見つかったとはいえ、我々は2人になんとなく申し訳ない気持ちを感じていましたが、M美の最後の一言で救われます。

「私を見つけてくれて、ありがとう」

家出人は下らないプライドや意地で自分では戻ることができないけれど、本当は自分を見つけて欲しいと思っているのかもしれません。

~実話~

家出調査も多いです。

こうした家出からまだ間もないケースもあれば、何年、何十年も経ってしまった後の家出人を探したいというケースもあります。

                    調査員O

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Supervisor Information

監修者情報 | 金子 玄

慶福法律事務所代表

【出身大学】
慶應義塾大学法学部法律学科・大学院法学研究科修士課程を修了

【経歴】
平成19年 弁護士登録後、複数の都内法律事務所に勤務
平成25年 慶福法律事務所設立

【所有資格】
弁護士(識別番号36627_第一東京弁護士会)・図書館司書資格

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