【探偵調査員の奮闘日記】浮気シタ側からの依頼

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探偵小説

こんにちは、うな探偵社調査部長の竹中です。

今回のお話は、ある不倫調査の依頼から始まりました。

プライバシー保護のためフィクションを交えながらお話します。

ある春の日、浮気調査を依頼したいと、探偵社の門を叩いたのは、都内在住の30歳代専業主婦、シタ恵さんでした。

シタ恵さんご夫婦は結婚されて約10年になり、小学生のお子さんが1人いらっしゃるそうです。

今回は、会社勤めの旦那さんが浮気をしているということで、その証拠を取りたいという依頼でした。

しかし、こうして探偵を使った浮気調査に踏み切る方というのは、既に浮気に確証を持っている方が多かったりするのですが、シタ恵さんにはお話を聞けば聞くほどそうした確証はなさそうでした。

こちらとしても成功率を上げるためだったり、調査費用を抑えるためにも色々とヒアリングを重ねたのですが、

“特に怪しい行動は見られないが、週末に時々出かけるときがあるので、浮気かもしれない”くらいの根拠しかありません。

それでもシタ恵さんは「女の勘でわかる、とにかくやってほしい」とおっしゃるため、調査を実施することになりました。

旦那さんの浮気調査は、金曜日の勤務終了時間から始まりました。

残業だったのか、1時間半程遅く旦那さんは出てきたのですが、どこにも寄らず、30分程で帰宅します。

再外出することは普段からないということで調査は終了し、出かけるという翌日土曜日に再調査です。

土曜日、今度は午前10時から開始です。

この日は前々から出かけると宣言していた日らしく、昼過ぎに出てきて電車で街に出ると、1人で少し買い物をしてから男性2人と合流して飲みに行きました。

一応、最後まで調査を続けましたが風俗等に行くこともなく帰宅です。

日曜日は旦那さんも家にいるということなので、報告は月曜日に行いました。

調査員「安心するための調査も必要ですが、難しいことにシロだと断定するまで調査を続けているときりがありません…」

シタ恵「そうですよね…。電話の内容などを聞いたりはできないんでしょうか?」

調査員「電話ですか…。ご自宅での電話でしたら盗聴器を使って、などの手がありますが、こちらではできませんので自己責任でご自身でしていただくことしかありません」

シタ恵「それだと家での分しか聞けないんですね…」

しばらくシタ恵さんは嚙み合わない質問を繰り返したり、なにかを考え込んでいる様子でした。

シタ恵「わたしに探偵をつけられている可能性はありますか?」

調査員「なにか、心当たりがあるんですか?」こちらとしても、目的を理解していたほうが、確実な調査が行えます」

違和感が積もっていた調査員は、なにかあるなら正直に話すよう説得をしました。

シタ恵「実は、恋人がいまして。子供の親権が欲しいんです」

シタ恵さんには現在、お付き合いをしている方がいました。

今の旦那さんはお子さんを大変可愛がっているそうで、もしもこちらの不倫がバレたら親権を取られるのではないかということを危惧しているそうです。

なので旦那さんが不倫をしていれば先に証拠を掴みたいし、逆に現時点で相手に不倫がバレていないか、証拠を掴まれていないかどうかが知りたい、ということでした。

ようやく、シタ恵さんの依頼の本意が掴めました。

探偵調査員「既に調査をされているかどうかは、わかりません。報告書や契約書が自宅にある場合は探せば見つかりますが、それを防ぐために、実家や職場に置いておくというパターンはよくありますから」

シタ恵「探偵をつけられていないかは確かめられないんですか?」

探偵調査員「そうですね…。デート中にさらに我々が尾行して、他に尾行している人がいないかを確認することはできますが…」

数日後、探偵をつけられていないかどうしても確かめたいと、シタ恵さんの不倫デート日に調査を行うことが決まりました。

シタ恵「探偵がいたら、ただちに電話してください。デートを中止します」

探偵調査員「わかりました」

シタ恵さんの自宅から、今日は旦那さんではなくシタ恵さんを尾行します。

不倫調査をすることは多いですが、依頼者が本人というのは…かなりのレアケースです。

シタ恵さんは旦那さんと小学生のお子さんを見送った後、おしゃれをして出てきました。

電車でこのあいだの旦那さんと同じ街まで出ると、40歳くらいの男性と合流し、カフェでランチを嗜んだ後、ラブホテルに入ります。

私たちは警戒しながら尾けていましたが、他に探偵らしき人物は見当たりません。

探偵調査員「探偵はついていないですね」

シタ恵「ありがとうございます。心置きなく楽しめます」

ホテルの中のシタ恵さんに報告をして、調査は終了しました。

その後、

やはりシタ恵さんは探偵をつけられていないか不安になるらしく、シタ恵さんのデートを4回、旦那さんの遊びに行く日を3回、調査をしました。

シタ恵さんは”探偵が絶対についていない”と確信できると安心するのか、我々(探偵)に見られているのを知っていて、外での不倫デートは段々と大胆になっていきました。

旦那さんはやはり浮気をしていませんし、シタ恵さんは探偵をつけられてはいません。

最初の調査から最後の調査までは半年近く経っていたので、未だにアクションがないということは調査が始まる前にも探偵をつけられていなかったと可能性は高いです。

そのうち連絡はこなくなり、調査は終わりました。

浮気をしている人ほど相手の浮気を疑うとは聞いたことがありますが…

相手をうまく騙して浮気して、意外と簡単に浮気はできるものだ、なんて考えがあるからこそ、浮気を疑うこともあるものなのですね。

            おわり

~実話~

浮気調査をする理由も、根拠も、人それぞれです。

時々理解できないときもあります。

                    調査員K

Supervisor Information

監修者情報 | 金子 玄

慶福法律事務所代表

【出身大学】
慶應義塾大学法学部法律学科・大学院法学研究科修士課程を修了

【経歴】
平成19年 弁護士登録後、複数の都内法律事務所に勤務
平成25年 慶福法律事務所設立

【所有資格】
弁護士(識別番号36627_第一東京弁護士会)・図書館司書資格

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