こんにちは、うな探偵社調査部長の竹中です。
今回のお話は、ある浮気調査の依頼から始まりました。
プライバシー保護のためフィクションを交えながらお話しします。
この日、調査依頼にきたのは20歳代の女性、サレ香さんでした。
高校生のころから、もう10年以上付き合っているという彼氏に結婚を申し込まれているそうなのですが、彼に女の影があり踏み切れない、というご相談でした。
サレ香「彼、休みの日には既に予定が入っていることが多く、そういう日の当日は連絡が全然取れなかったりとか、たまに部屋に行くと女の痕跡があったりするんです。
背欲が強い人なので、風俗の女の人でも呼んでるのかなー、なんて、許してきたんですが、洗濯機から女ものの靴下と下着を見つけてしまって。
ということは替えが部屋に置いてあるような、お付き合いしているようなレベルの女の人が他にもいるのかな…と」
ただ、彼氏の浮男と結婚したいという想いは強いので、遊び程度の浮気なら話し合って解決したい、ということで、真実を確かめるため調査をすることになりました。
今日は浮男の仕事は休み、依頼者にはかなり前々から「日曜日は1日友達と出かけるから、あまり連絡できないかも」と宣言していた日です。
1日というからには朝の早い可能性もあると、まだ暗い6時から調査が始まりました。
しかし、調査開始から10時間が経過…午後4時、まだ浮男は出てきません。
浮男は小さなアパートに住んでおり、玄関ドアもしっかり目視できるため、調査中に出てきていないことは確実です。
サレ香さんと相談して、サレ香さんから浮男に電話をかけてもらうことになりました。
が、出ません。
調査班が到着するよりも先に出たのか…?
と考えていると、浮男の部屋の電気が点灯します。
どうやら、ずっと、在宅していたようです。
1人の時間が欲しかっただけなのか…それから2時間ほど見て、今日はもう出かけないと判断し、調査は終わりました。
2週間後、ほぼ同じ条件でもう一度調査が行われました。
が、前回とまったく同じ、一度も出てこずで終わります。
サレ香さんと、もう一度改めて打合せをすることになりました。
サレ香「どうしてこんなに色々と女の持ち物が出てくるのか、どうしても納得いきません…」
竹中「浮気があるとしたら、調査開始から終了までずっと女がいるとか、一緒に住んでいるとかいう可能性も出てきてしまいますが…」
サレ香さんは長く悩んでいましたが、「こんな感じでは結婚の返事はできない」と、3度目の調査を行うことになりました。
3度目の調査。
お昼頃、浮男の部屋から帽子をかぶった女が出てきました。
パンツが見えそうなミニスカートにガーターベルトをした、地雷系の服装に身を固めた足のすらっとした20代の女です。
女はアパートの前に横付けされたタクシーにすぐに乗り込みました。
竹中「やっぱり、女がいたんだな…もしかしたら夜職の女の子っぽくも見えるが…追ってみよう」
浮男の部屋から出てきた地雷女子は繁華街のど真ん中でタクシーを降りると、クレープ屋に並びました。
かわいいデコレーションがクレープに盛り盛りに施された、今の若い女子に大人気のお店です。
地雷女子の正面にまわっていた若い調査員が、言いだしました。
調査員A「えっ、いや、これ、、本人じゃないですか???」
えっ???
後ろから見たところ、露出した足はどう見ても女子にしか見えません。きれいなすらっとした足です。
顔も窺いますが、化粧が濃くてなんとも言えません。
“男性”というような感じではないような…でも確かに本人ぽいような…
妹?家族?依頼者に確認のメールを送りながら、調査を続けます。
順番がまわってきたようで、クレープを受け取ると、席に座って食べる地雷女子。どうやら動画撮影をしているようです。
調査員A「近くで聞くと、声がやっぱり男性っぽいです」
竹中「うーん…」
地雷女子はクレープを食べ終わるとすぐにタクシーに乗って帰宅しました。
外でほとんど出歩かないようにしているのは、やはり女装している男性だからなのか…
改めて依頼者に報告です。
あの地雷女子が浮男なのかどうかは、写真では依頼者すら判断がつかなかったようですが、今回はもしかしたら浮気ではないのかもしれません。
こちらのほうがより衝撃的な結果かもしれませんが。
竹中「今日の報告書を仕上げて渡すので、あとは…」
あの地雷女子を浮男ではないと判断するのなら浮気、浮男なら、まあ、そういうことです。
判断は依頼者に任せ、調査は終わりました。
しかし、それからしばらく経ったあと、サレ香さんから電話がかかってきました。
「何度か切り出そうとしたんですが、切り出せなくて…
なんか本人だという自信もなくなってきて、やっぱり確信なしに言えることじゃないと思うので、もう一度、調査してもらえませんか」
「お気持ちはわかりますが、3回の調査の結果から見るに、お家で過ごすことが多いようですし…。たまたまの外出を狙っても、とてもお金がかかってしまいます」
話し合いは1回目の調査の時よりも長引き、試行錯誤を重ねた結果、
・調査員が直接本人宅を訪問して、出てくれれば顔を確認する
・動画を撮っていた様子からして、何らかのSNSにアップしている可能性が高い。そのアカウントを探す
この2つの調査を行うことが決まりました。
さて。また、浮男との連絡がつかない日曜日の15時。
調査員は気合を入れて、浮男の部屋のインターホンを押します。
地雷女子「はい…」
やはり出てきた地雷女子。家の中なのに完全防備で、部屋の中からは料理のようないい匂いがします。
調査員(料理系のアカウントなのかな…)
そのときの様子や、調査員の感じた印象をまとめて報告書に上げます。
また、調査により、アカウントも見つかりました。
フォロワー320人の、地雷女子アカウントです。
5年も前からやっているらしく、男性という表記もなく加工でより女子になってしまっていますが、動画でじっくり見ていると、それが浮男本人であることがわかります。
一度アカウント名がわかると、各種SNSをやっていることがわかりました。
そのアカウント名も添えて、依頼者に報告書を提出です。
過去一誰も幸せにならない調査だった気がします。
おわり
~実話~
連絡が取れない状況…怪しい。
調査員O