こんにちは、うな探偵社調査部長の竹中です。
今回も浮気調査のご依頼から始まりました。
プライバシー保護のためフィクションを交えながらお話しします。
不倫や行動調査というのは、配偶者ですらどこに行っているかわからない、というような人の行き先、行動を確かめる調査です。
なので、全く想像もつかないような場所に行ったり、人に会ったりすることは当然なわけで、調査を開始するときには、
それがこれからどんな調査になるのかはまったくわかりません。
この日相談にきたのは40代の会社員の男性で、
内容はこの業界では珍しくない「妻の様子がおかしいから行動を確かめたい」というご依頼でした。
依頼主のご家庭は夫婦と中学生、小学校のお子さんがいる4人家族で、依頼主がお休みの土日どちらか、あるいは両方に奥様は1人でお出かけになるそうです。
そうして出かけるようになった数ヶ月前から
洋服や下着の趣味が変わった、携帯を見せなくなった、などの様々な違和感があり、その積み重ねで今回の依頼に繋がったということでした。
奥様が毎週出かけるという、土曜日の朝から調査は始まりました。
依頼主「今、出て行きました。友人とランチに行くそうで、今日はラフな格好なほうだと思いますが、よろしくお願いします」
奥様はマンションから出てくると、駅まで電話をしながら歩いているようでした。
少し近づいて聞いてみると、「7時には帰る」という言葉が耳に入ってきます。
依頼主から聞いているものと時間も一致し、今日これから会う相手であることは間違いなさそうです。
他の会話の内容や、相手の声はわかりませんでしたが、奥様はかなり楽しそうにお話をされていました。
最寄り駅につくと、奥様は電話を切り、電車に乗りました。
これも依頼主に言っていた予定通り、数駅離れた繁華街で降ります。
そして少し歩くと、ビルの一角にある喫茶店に入ります。
待ち合わせでしょうか…
店内はあまり広くなく、外からも様子を窺える構造のため調査員は店外で待機していましたが、
奥様は1人のままパスタを注文して食べ始めました。
そうしてすぐに食べ終わると、お店に入って30分少ししか経たないままお店を出ると、奥様は近くのボロボロの小さなビルの地下に入って行きます。
次こそ浮気相手との待ち合わせの可能性もありますが、そこは小さなビルで、今後の展開を考えると入店して顔を見られるリスクは回避したほうがよさそうです。
調査員は外で待機することにしました。
その場には看板がなく、ビル名で調べると地下にはバーがあるようです。
待っていると割と人の出入りがあるので、ランチ営業もしているのでしょう。
さっきのパスタは大食いを隠すための前菜だったのでしょうか…
バーに入って3時間経った頃、奥様は女性と2人で出てきました。
友達とランチというのは本当だったようです。
2人はデパートの化粧室に入り、長々と化粧直しをした後、歩いて離れたところのまた地下に所在するバーに入っていきました。
休日に昼間からお酒を飲んで、おしゃべりして、主婦のストレス発散ということでしょうか。
2人は18時には出てくるとその場で解散し、奥様はデパートに戻るとデパ地下でお惣菜とスイーツを買って、19時前には帰宅しました。
家族のことを忘れない、いい奥様に見えますが……
翌週は日曜日でした。
今回も同じ駅で降りると、1人でハンバーグ屋さんに入り、
その後また前回のバーに入ります。
また先週と同じ友達と待ち合わせの可能性もありますが、中での会話を聞いて欲しいと依頼主から要望が入ったので調査員も中に入ります。
中に入ると、もう一枚扉があり、インターホンがついていました。
扉には鍵がかかっているようなので、インターホンを押します。
「何名様ですか?」
「1名です」
「当店のご利用は初めてですか?」
「あ、はい」
「他のハプバー等には行かれたことはありますか?」
!!??
奥様が通っていたのは、ハプニングバーでした。
そういうことだったのか……と事態を飲み込み、
色々と同意して中に入ります。
探偵の必需道具であるカメラも剥奪されてしまいましたが、
とりあえず奥様を探します。
店内は薄暗く、すぐには見つけられませんでしたが、
歩いているうちに奥様らしき人物が目に飛び込んできました。
機関車トーマスのような顔立ちの男性とソファに座り、
周りの男女と親しげに挨拶しています。常連のようです。
また、よく見ると右手はトーマス似の男性の子トーマスをしっかりと握っているようでした。
しばらく遠巻きに様子を見ていると、先週一緒に出てきた女性もいるようです。
奥様はトーマスではなく別の男性と奥の部屋に消えていったので、調査員は一旦外に出て、他の調査員と依頼者に今見た光景を共有することにしました。
調査員
「お伝えしづらいのですが…
潜入してみたところ、奥様が毎週通っていたのは、ハプニングバーだったようです」
依頼者絶句
「ハプニングバーですか…!?」
依頼者
「少し考えていた結果と違いすぎるので、今はとりあえず1人で考える時間が欲しいです。
不倫ならば話し合いたいと思っていましたが…」
とりあえず今日も最後まで見て欲しいということなので、また外で待機です。
中で見たお店の名前を検索すると、本当のホームページも出てきました。
待っていると、奥様はハプバーから先週と同じ女性と2人で出てきて、今週はまた別の場所へ行きました。
今回もまた地下に所在することと、さっきの事実も踏まえると先程と同じパターンである可能性が高いので今度は別の調査員が中に入ります。
調査員
「ここもハプバーでした。
奥様もご友人も、下着姿で歩きまわっていました」
出てきた調査員が言います。
奥様は今日も18時頃には出てくると、夕食を買って帰宅します。
依頼主は動揺していたようなので、大丈夫なのかな…とは思っていましたが、やはり奥様が帰ってすぐにどこに行っていたのか問い詰めたそうでした。
奥様
「ストレス発散の遊びのつもりだったのに、ハマってしまった。
けれど子供も旦那のことも愛しているから、きっぱり辞めるから、離婚はしたくない」
二児の母がハプバー通いという、想定外の結果となった調査でしたが、2人は誓約書を交わし、再構築というかたちで調査は終了しました。
~実話~
また新しい調査が始まります。
この調査の顛末は本当に予想外でした…
調査員。